1960/S35~S45

旅人よ 1966 加山雄三

加山雄三の10枚目のシングルレコード「夜空を仰いで」のB面。
この2曲は12月15日に発表されたシングル「まだ見ぬ恋人」と共に、翌1967年元日に公開された加山雄三主演の映画「若大将シリーズ」の第9作となった「レッツゴー! 若大将」の挿入歌としても使われています。

 作曲は弾厚作(加山本人)、作詞は岩谷時子。 詞の内容は、晩秋の頃、故郷から遠く離れた草原を行く若き旅人に、命の限り夢を抱いて進みなさいと語りかける応援歌。
「いのち果てるまで」続ける旅とは、三次元的空間的な旅ではなく、四次元的時間的な旅を意味しています。 三次元の「天地」を旅館に見立て、四次元の「時間」を旅人になぞらえることは、古来の詞詩文曲に見えるとおりです。人は時の流れと共に未来に向って進む旅人であるという岩谷の考え方は、この古伝の思想を踏まえたものです 

  為風顫動的 綠的草地
  溯尋的瞳孔放光的 年輕的旅人
  聽在遙遠的 天空裡鐘響
  與在遠的故鄉的 母親的歌相似
  不久冬天 冷的雪會運送
  你的年輕的足跡
  對胸燃燒的 戀愛也填埋
  草枯萎也 到生命終
  你 對心中有夢 年輕的旅人

第2節に見える「遠いふるさと聞く 雲の歌に似て」とは、分かりにくい表現ですが、「遠いふるさと聞く」とは、本来はこのような口語体の歌詞では「遠いふるさと聞く」とすべきところを、詞全体の韻律を整えるために敢えてこの句だけ文語調の表現にしたものと考えます。
 また、「雲の歌」が何を指すのかは本人でなければ分かりませんが、岩谷が7歳のときに発表された童謡「夕焼け小焼け」の可能性が高いものと思います。 この童謡の中には直接「雲」という詩語は出てきませんが、岩谷の詞に見える「赤い雲」「夕陽」「空」「鳥」などの詩語は、「夕焼け小焼け」を強く意識したもののように思えます。 引用~伊賀山人音樂故事

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