ジョージ・ガーシュウィンが1935年のオペラ『ポーギーとベス』のために作曲したアリア。作詞はデュボーズ・ヘイワード (DuBose Heyward)。
「ボギーとベス」~ジョージ・ガーシュウィンが死の2年前にあたる1935年に作曲した3幕9場からなるオペラである。様式から言うとミュージカルの先駆的な存在である。1920年代初頭の南部の町に住む貧しいアフリカ系アメリカ人の生活を描いており、ジャズや黒人音楽のイディオムを用いて作曲されている。登場人物はごく数名の白人を除き全て黒人である。海に面したアフリカ系住民の居住区キャットフィッシュ・ロウ(“なまず横丁”)が舞台となっている。
オペラの第1幕冒頭で、生まれたばかりの赤ん坊にクララが歌いかけるブルース調の子守唄である。前半の「夏になれば豊かになれる、魚は跳ねて、綿の木は伸びる。父さんは金持ち、母さんはきれい。だから坊や、泣くのはおよし…」では、歌詞とは裏腹に1920年代のアメリカの黒人たちの過酷な生活が反映されているが、後半の歌詞では、「ある朝、お前は立ち上がって歌う、そして羽を広げて飛んでいく…」という子供の成長を祈る内容になっている。
(第1幕)ある夏の夕方 – 夜~足の不自由な乞食のポーギーは給仕女のベスに思いを寄せている。ベスの内縁の夫クラウンは賭博のトラブルから仲間を殺し逃亡し、これをきっかけにベスはポーギーと一緒に暮らすことになる。住民たちはクラウンに殺されたロビンスの部屋に集まり、彼の死を悼むとともに、なけなしの金を出し合って葬儀の費用を捻出する。
(第2幕)殺人事件の1ヶ月後 – その1週間後~ある天気のよい日、キャットフィッシュ・ロウの住民たちは離島にピクニックに出かける。ポーギーは足が不自由なために留守番である。ベスもピクニックに参加するが、島に隠れていたクラウンと出会ってしまう。島から戻ったベスは熱を出して寝込み、ポーギーは献身的に彼女を看病する。1週間後、回復したベスはクラウンとのことを告白し、ポーギーへの愛を誓う。その翌日、ハリケーンがキャットフィッシュ・ロウを襲う。住民たちが集まっているところへクラウンが登場しポーギーと険悪なムードになるが、漁師ジェイクの妻クララが難破した夫の船を見つけ嵐の中へ飛び出して行く。クラウンは嵐を恐れる住民たちを臆病者と罵りクララを追う。
(第3幕)ハリケーンの翌日 – その1週間後~嵐のために死んだ仲間のための葬式が終わった後、クラウンがポーギーの部屋に忍び込む。発見したポーギーは乱闘の末にクラウンを殺してしまう。翌日、警察による捜査が行われ、ポーギーは検死のために参考人として警察へ連行される。ポーギーが犯人であることは発覚しなかったものの、彼は自分が殺した相手を見ることができなかったため警察に1週間勾留されてしまう。勾留がとけて意気揚々と帰ってきたポーギーはベスの姿がないことに気づく。住民たちから、ポーギーがいない間に遊び人の麻薬の売人スポーティング・ライフがベスを誘惑し、2人が遠いニューヨークへ行ってしまったことを知らされたポーギーは悲嘆にくれるどころか、ベスを見つけるため、不自由な足をおして数千キロ離れたニューヨークを目指し旅立つ。